憧れだけでは、、、

「ヨタハチ、ありますよ。」

長い?旅の終わりを告げるようなやさしい電話の声に心は弾む。そのショップは僕等の行動半径内でした。

国道沿いの背の高い植栽に隠れるようにその店はありました。バックヤード風、気難しそうなメカニック、そして居並ぶ魅力的なスタイルのクルマたち、、、

「こんにちは」
カニックの人は、黙々と作業をされていました。彼の仕上げていたクルマは、、、今振り返るとそれはホンダS500でした。

エス実車を見たのは、この時が初めてでした。アイボリーのボディ、フルオリジナルに仕上げられたそれは、とても小粋に見えました。

社長さんの運転するトラックに乗り、店からかなり離れた山奥のほうへ、、、「ストックヤードがあるんですよ。」20分も走ったでしょうか、ストックヤードというか、草ぼうぼうの空地にヨタハチは居ました。

「おおっ!」一目見たときの複雑な心境。コンクールコンディションなんて望むべくもありませんが、新車ばかりを乗り継いできた者にとって、それは思っていたものとはかけ離れていました。

メタリックグリーンに塗られたボディ、(玉虫色とでも言うか)エンジンはすぐにかかりましたが、カタカタとタペットの音がかなりうるさい。

憧れだけで「旧車」を手に入れると大変な目に会う、社長さんはよくわかっていらしたのでしょう、「よく考えて。」
                                   
                                           続く